理由なんて大したものはなかった。 ただあの子が、そこに居たから。 途方に暮れた子犬のように涙を湛えてこっちを見るから。 それがなんだか、『彼』が俺を拾ってくれたときと重なって。 目の前の子犬を育ててみたら、彼の気持ちが少しはわかるんだろうか、なんて。 ただ、それだけだったんだ。
あれからもう、12年。 ほんの少し、少しだけ。わかったような気がする。