『恵みの雨を厭う』
それは命にとって大切な恵みであると彼は理解している。 雨音も心を落ち着けるのにいいもので、本当は、雨の日が嫌いじゃない。 けれど。 「……みんなが、晴れた日を望んでいるので」 てるてる坊主をそっと吊るして、傲慢な己の祈りを託す。 長い雨は憂鬱も運ぶ。そのことを知っているからこそ『教祖』は人らしくお天道様を望むのだ。