『祝福に微笑む』
こういう場は苦手だった。煌びやかで楽し気な場所に、己はそぐわないから。 彼はだから、バルコニーでずっと夜風を浴びていた。 揺れるカーテンの向こう側で、楽しそうに過ごす仲間たちの姿を眺める。 ああ、よく似合っているな、と漠然と思う。 あいつらには、幸せな時間が、よく似合う。 そうやって微笑んだ。それだけで価値のある夜だった。