「銃には弾と愛を籠めるんや、覚えとき。」
父は立派な軍人だった。 姉たちも父の後を追うように軍人になった。 そんな家族たちの背中を追うように永吉も軍人となり准尉となった。 入隊したての若い軍人は、こう言う。
「あの人、銃にしかデレた事がなさそうですよね。」
永吉は銃の魅力に囚われていた。しかし、銃の腕は確かになっていた。 西の狙撃主と呼ばれるのは、後の話―。