【現パロ】しとしとと雨に濡れる人気のない道をゆっくり、傘を差して並んで歩く。紫陽花がよく咲いていて、それを見たいとロマニが言ったからだ。「キミは本当に花が好きだねえ」「だって綺麗じゃないか」「私だって綺麗だろう」「自分で言うなよ。ああ、ほんと綺麗だなあ、紫陽花」ひどく優しい眼差しが紫陽花にばかり注がれるのが悔しい。たかが花のくせに。むすっと黙り込んだマーリンに気づき吹き出したロマニは色濃い紫陽花を指さす。「ほら見てみろって。すごく綺麗だろ。……キミの眼の色とそっくりだ」一気に不機嫌が吹っ飛んだ。