少女は笑った。心からの笑みだった。これで、これで彼は救われる。死に場所を探すような人生で、あたしに生きる理由と、彼のために死ねるという「最高の死に場所」を与えてくれたひと。どうかきみが、ずっとずっと幸せに生きていてくれますように。少女は目を閉じた。死んでしまうほど恋した彼の姿をその瞼の裏に描きながら。それが彼を狂わせ、世界すら侵す恋物語の始まりだとも知らずに。