[掴んだ手の温もり]ルーセン
レア度:
★4
6ヶ月前に更新
鼻の奥を突く消毒液のにおい。
やっとのことで掬ったそれが今にも両手からこぼれ落ちそうで、じっとりとした不安が心臓にまとわりついていた。
震えるまぶたの向こうから青が覗いた時、永遠にも感じていた時間が動き始める。
「……おじさん?」
まだ寝ぼけているのだろう。愚かで哀れな子供は自分がいる場所も分かっておらず、ただ不思議そうに私を見つめるばかり。
「……ッ」
声は出ない。ツンと痛くなる目を瞑って、小さな手を握りしめる。
白いカーテンの向こうから差し込んだ光が、私達を柔く包んでいた。
アビリティ: | 共に迎えた朝日 |
属性: | イノセント |