「……おい」
家を訪ねてきたのは可愛くない弟だった。ゴーグル越しに冷たい視線が向けられる。
「何？私、忙しいのよ。用があるならさっさと言って」
「フューネは私が預からせてもらう」
ああ、なんだ。あいつ、まだ生きてるのね。
「……そう」
「手続きはこちらで進める。お前はサインするだけでいい」
「面倒じゃなければ何でもいいわ。用件はそれだけ？」
弟はイラついた様子で私を睨んでいる。懐かしささえ感じそうなほど、覚えのある目つき。
……本当に可愛くないわね。