共同体がしっかりしている社会では、人間関係が信用に基づいているので、その分、余計な手間をかけなくて済む面があります。あらゆることで契約書の類を求められるようになったのも、似たような話です。この場合、相手を信用していれば、基本的には必要がないものに手間をかけているわけです。契約書を整えるといえば、何となくきちんと仕事をしている感じがするでしょうが、実際にはすごく無駄なことをしているかもしれないのです。
（『人生の壁』より）