吸血鬼だから、人に恐れられた。生きとし生けるもの全てが蹂躙されていた暗黒の時代でも。良家の生まれで生きる術など彼女には持ち得ていなかった。ならば、身を売る商売に堕ちるのは必然。愛した人も戦争で命を落とし、絶望の中「千代子」であることを忘れて、彼を裏切りながら「藤ノ代」に染まってゆく。