クルルアムール
レア度:
★4
約8年前に更新
【Trinitatis ad Proerium】
悠久の時を生きる彼は人間に好意的である。
なぜなら、人間は稀に見る美食──エサであるから。
数多の魂を食らった。肉を貪り、血を飲み干し、骨の髄までしゃぶりつくした。
そんな彼がふと疑問に思った。
「記憶がなにもない真っ白な魂は、はたしてどんな味がするのだろう」
運良く人間が眼下にいる。
現状に涙し、現状に憎み、現状に絶望する聖職者。
緩む頬を引き締めながら、彼はそっと囁いた。