「トーリス。主に密偵をしています。……それ以外は許可が下りないと喋ることが出来ないので」 彼には翼が存在しなかった。けれど大切に育てられ、世界の闇とは無縁だったはずなのに運命とは残酷なものだ。愛する家族と引き離され、処刑間近の牢獄の中。何も悪いことなんてしていないのに。そう叫んだ時、あの人は現れた。昏い檻を圧し折って、未来への自由を与えてくれた。