「これやるよ。…別に、ダチに作って余ったからくれてやるだけさ。義理どころか余り物なんだから、勘違いすんじゃないよ」 彼女は普段通りの不機嫌そうな顔をして、可愛らしい包みを差し出してくる。普段と違うのは、頬が少し赤いこと。照れているのかとまじまじと見つめると、半ば押し付けるように包みを渡して去って行った。夕暮れの渡り廊下での、一瞬の出来事だった。