水のせせらぐ音がする。あの日から長い歳月が流れ、幼かった少女は成長していた。今度は自分も一緒に行くという妹を制して、あの日のままの姿をした兄は微笑んだ。 「リル、お前はまだこっちに来てはいけない。僕はお前の想いを背負って逝くから、お前は僕の想いを背負って生きてほしい」 賽の河原には、少女と同じ分の歳月を数えるほどの石が積まれていた。それを知るのは兄のみであった。