英雄は“英雄”を捨てた。偽りの正義は、もう必要ない。この脚は、手に握った剣は、自分の意志で振るうためにある。精霊は嗤う、決別なんてできない。オレはお前で、お前はオレだ。決別なんてしなくていい、そうだとも、お前は俺だ。嫌そうに顔をしかめる精霊に、彼は少しだけ笑ってみせた。