最初に「餞別だ」と九鉄から彼のものを少し貰った時は、純粋に有難くしか思わなかった。 宮崎本線をなくした時は、彼の道程をよく知っていただけに崖に立たされたような気分になった。 その次は国都東線だった。もう十分だと思っていたのに。 なのに国都西まで食らってしまって、愕然とする俺の前に立ちはだかったのはやはり九鉄――鹿児島だった。 「さあ、これで仕舞いだ。持っていけ……餞別だ」