「クロってマジで猫みたいだよな」
彼は男娼だというのに金を取らない。夜の街で声をかけてきたものだから、てっきりカモにされるのかと思ったが。
「なぁ、お前の瞳、見覚えがあるんだけど…」
いつものように添い寝だけ。ふと頬を撫で、前髪をそっと退けて。瞳の色も髪の色もあいつと似ている。けどそれが原因ではない、何かが引っかかるのだ。