私は、凡庸な人間だ。心の底からそう思う。けれど、凡人だからと言って、歩むのはやめない。 私は鉄人でも、俊英でも、秀才でもないから、きっと、ずっと、へこたれて、くじけていくんだろう。 でも、私にはここがある。この場所がある。 毎年、春が来るたびに。そう、あの庭の桜を見るたびに、「今年も一歩ずつ」って、そう思うんだ。 こうしてきっと、ずっと、千里を行くのが私にできることなのだから。 (出典:桜之荘)