彼から逃げて何年経ったろう、忌まわしい記憶を時折思い出しては封をする。さすがにもう追ってこないだろう、彼のことは忘れようと思ってはいるものの、彼の足音の間隔や声の高さ、傷を作る時の角度さえも身にこびりついているようで簡単には忘れさせてくれない。 来月にはまた別の国に移居する、次は日本だ。次は良い出会いに恵まれると、有り難いのだが。