彼には少しだけ魔力がある。 生活の役にも立たないちっぽけな魔力だ。 しかしそのちっぽけな魔力は、リルに大きな苦悩を強いていた。 "帰んなくて良いのかい?" 隻腕の同僚に言われた言葉だ。 「俺には帰る故郷はない」 自分に帰る故郷はない。 だって7年前、彼は自分を葬ったのだから。