サヴァシュ･スミグリィは死んだ。帝政ミスクとの戦争で、かつて「傭兵大隊」が壊滅した街で。そうとも、彼は死んだのだ。
だからここにいるのは心残りがあるために彷徨う放浪者。帝政ミスクと結ばれた不可侵条約が発効している七年の間だけ存在を赦された亡霊。
だから、いずれ亡霊はここから去る。そして突如としてテュルクに一人の将軍が出現することになるのだろう。
――彼は亡霊。七年の自由を得た代わりに、七年より先の時間をテュルクに捧げた商人である。
(出典:剣と魔法の世界 in Organia)