愛花日高。幾許の季節が流れ、また春は巡る。 人に愛されるために授けられた赤の瞳を彼は愛を求める人間に与えなければならない。最後の使命を果たすべく彼は春風の中に消える。 追うような声がした、しかたのない人だと思わず笑ってしまった。 「それが君の望みならば、どこまでも君を連れていこう。」