「君に、渡さなければいけないものがある。」 そういって 看守ドクトルから青年に手渡されたのは1つの封筒。 裏を見ても宛名は書かれていない。 青年は、これは誰からなのか。そして、この数年間 時を共にして来た ある囚人の所在を聞く。 「ナヨはどこ?」 刑務作業が終われば、自分よりも先に決まった場所にいた彼が、自由時間が終わっても現れなかったのだ。 「彼は…」そう言ってドクトルは重い口を開く。 真実を伝えなくてはならない。 それを青年が受け入れないとしても。