「なに、こっち見ないで。……名前?エミール・ボンネウィーク。何で僕なんか呼んだのさ」 自分は周りと違うと気付いてからは、周囲の目が怖くなった。光を操る手、すぐに最適解が分かる頭、遅れて現れた毒を産む吐息。自分はヒトじゃないんだと怯え、それでも普通でいようと躍起になっていた時に見てしまった兄の苦しそうな瞳。違う、そんな顔をさせたかったんじゃない。千切れかけた手を繋ぎ直すために、兄の後を追い掛けた。