少女の視線は薔薇園を手入れする一人の女性に釘付けだった。 香りのよい薔薇たちが咲き乱れる庭園で一人チェスを指しながら。 その淡い恋心が、赤い薔薇の花言葉に変わるのはそう遠くない未来のこと。 「ぼくは恋なんかしない。……だけど、でも」