今日は幼馴染の嘉助との結納の日。神田明神様のお社であたし達は夫婦になるんだ。 もちろん、嫌なわけじゃないよ。嘉助は出来た若旦那だし。それでもね。あたしはまだ――。 そう思ったとき、お社に駆け込んでくる影。叫ぶはあたしの名前。 胸が高鳴って、不思議と笑顔がこぼれて。……気づけば、花嫁衣装を投げ出して、走り出して。 嘉助も笑ってる。「いいぞ、それでこそ、かやだ」って。 あたしは嘉助の花嫁、それは変わらないけど――。でも、まだまだあたしは自由で居たいもの! (出典:オリジナル)