量子演算機の登場で世界は変わり、再び電子の情報を纏い始めて。 そうして映画もありふれたものに変わって。だから私の役目は、終わり。 「きねまちゃん、今日も映画見に来たよ」 それでも誰かが私のところにやってきて。 「……もう、私はいらないのに」 呟きに返されるのは、叱る声。 「私たちにとっては、きねまちゃんの映画が"映画"なんだよ」 ――私はきねま。映画の再生ができるだけの、アンドロイド。 それでも私は、きっと、ずっと。皆さんに映画をお届けします。 (出典:オリジナル)