「いや、参った。ここまでとは思わなかったな……。お前しか見えないなんて事が、俺自身に起こるとは。」
彼はそう言って片頬を吊り、はにかむ様に頭をポリポリと掻く。今更こんな風に笑える日が来るとは、本人も想像すらしていなかったのだろう。 英雄と呼ばれた彼女は、確かに彼の人生を変えるに足る存在であり、彼には必要不可欠の糖分であった。