「命を捨ててもなんて事は、多分もう二度と言わないッス。守りたいよりも、一緒に居たいなんて我儘が強くなってしまいまして。」
指先は銀の粘土をこねくり回し、一つの形を作り出す。細く繊細な輪の形をしたそれは、指輪。充てる石さえないが、たしかに暖かい輝きを持つ指輪が形を変え、凝った意匠に仕上がっていく。それは彼の決意でもあった。