「本来は、こんな風に思っちゃダメなんです。ダメなんですけど………もう、どうしようもなくなってしまったんです。」
自らの分身を握り、彼女は遥か月を見上げる。極東で半ば都市伝説となっているその月は淡く緑に、されど変わらず銀色に輝いている。草の葉からこぼれ落ちた露のようだといえば、彼は笑ってくれるだろうか?おびただしい神の死体を背に、返り血を拭いながら彼女は踵を返す。