「室長、前回の報告書です。室長、お茶が入りました。室長、隊長より今日の初期案です。室長、会議の時間です。室長、室長、室長──」
彼女が眠ることはあるのだろうか。白い髪を揺らし、赤い瞳を輝かせて、ただ恩人に尽くし続ける。愛とも恋とも縁遠く、ただ恩に報いんとする執着。役にたたねば、命をかけても。自身を脅迫しながら、自身の奴隷として、何かを勘違いし続け、今日はカレンデュラが香るお茶を淹れる。