玉の緒は短いことから、生命のたとえにも使われるという。現世にいる時が短いからこそ恋に焦がれ、いのちがはかないからこそ夢を見る。 妖狐も例外ではなく、少しずつ少しずつ蝋燭を溶かすように日々を過ごすのだ。恋する乙女なら、なおさらのことである。 「愛してるのか憎いのかわからないんです。このままじゃ私、本当にあなたごと燃やしてしまいそう……私達って、どうして恋路から逃げられないんでしょうね」