無辜の怪物。すべては出生への恨みと醜きものへの恐怖。美への妄執と幸福への憧憬を込めて打ち出される宝具は、対象の神経を強制的に変性させ、マユ・オルタだけを「この上なく美しく見える」ようにする──が、自分にだけは使うことができない。虚しさを知っていればこそ、彼女は苦しみ続ける。もし彼女が救われることがあるとすれば、世界を根底から変えられるような存在に出会った時、だろうか。