夜は嫌い。自分に似て、周りに誰も彼もいなくなってしまうから。濃紺の空が私の存在をこの左脚から食べていって、みんなの記憶から消してしまいそうで、怖くて怖くて仕方がない。 「毎晩思い出すの。脚が無くなった日のこと。義足はまだ慣れなくて不自由だけれど、これが私の運命なのよね……神さまって、とってもイジワルよね」