肩に預けられた頭を見ながら、そっと開いた本で口許を隠した。きっとひどい顔をしている。顔を上げてくれるなと思うのに、視線が外せない。外すのが惜しい。だってどうしようか、ただの沈黙がこんなに嬉しい。心臓をくすぐる熱が愛しい。「私はこんなにお前のことが好きなのか」口にすればそれだけのことだ。