私は兄の手を取れなかった。
兄は降り下ろされた剣に貫かれた。 私はただ敵を睨みつけた。 私はただ怒鳴った。 「兄を返せ」 そう言いながら思いきり近くの岩を持った。 降り下ろした。 何かがべったりと付いた。 何度も何度も降り下ろした。 赤黒くなった岩は私の手によく馴染んでいた