「毒の雨」
曇り空の下。 老人が、切り株に腰掛けていた。 その隣に、一人の女性の姿。 老人は語る。 毎年この日になると、毒の雨が降ること。 かつてこの日、処刑された薬師がいたこと。 雨は、その罰ではないかということ。 そこまで聞いて、女性は微笑んだ。
「そうですね、そうかも知れません」
雨の中、 老人が最後に見たのは、 優しく微笑む黒い片翼だった。