「鮮血の記憶」
忌まわしい記憶があった。 血にまみれた記憶。 頭を掻き毟りたくなるような、最悪な記憶。 しかし、私はそれを忘れることは出来ない。 そして、忘れるつもりもない。
切り捨てた人の感触も。 悲鳴や怒号、泣き叫ぶ声も。 そして、喉に突き刺さった鋏の冷たさも。 全てを鮮明なまま、引きずっていく。 引きずって、あの子を護る。
それが、たった一つ、 たった一つ私に出来ることだから。