誰も祈らない教会で一人祈ることの虚しさにさえ気が付かない。 わかる必要もない。 彼のことだから、こういうのだろう。 「私だけが祈ればいい」と。 そして彼は今日とて祈りながら主の名を呼ぶのだ。 「我が最愛の神よ。主よ。願わくば私に祝福を」 彼は、どこまでも、浅ましく愚かな人殺しだった。