アイのカケラ9
レア度:
★2
約7年前に更新
病院から飛び出して、どれ程走ったか。追っ手はない。目が眩む。当たり前だ、重症人が何を。
見舞いに来たのは、確かに絶命した者だ。霞む視界で、声と到底言えぬ音を出し尽きた瞬間と目が合った。あの日本当はどれほど犠牲になったのか。鬼胎が罪へと肥大する。
人の気配。判別方法など知らない。視線。注目。痛い。声。目が合う。疑惧。気配。大通り。逃げ場は。目。窺う顔。恐慌。味方は。集まる気配。声。視線。人、人。来ないで。音。雑踏。人。誰が、誰か。誰を?
駆け出した。遠い悲鳴は誰のものか。
種族: | 記憶 |
属性: | 崩落 |