「ん…………あれ? あはは、寝ちゃってたみたい。起こしてくれてありがとう」
早く帰らないと、と背伸びをする清河君は、何だか嬉しそうに見えた。 何か用事があるのか?と尋ねると、
「え? あ、いや。はなふさの、家の手伝いするだけだよ」
そう言えば清河君の家は洋食屋だった。 けれども、鞄にいそいそと教科書を詰めている彼は、普段の穏やかな空気とは少し、違う気がする。 鼻歌でも歌い出しそうな、浮かれた雰囲気だ。 ……料理を作るのが好きなのだろうか?