『それ』は、闇を抱えた者を切り裂いた。
救えない者のみならず、まだ救える闇を抱えた幼子でさえ、冷たく薙ぎ払った。
それが彼のこなすべきことであり、そこに私情は一切無い。
彼は善、闇は悪。彼のやることなすこと全ては絶対的な正義であり、誰も否定する者はいなかった。

闇を匿う、彼女に出会うまでは。

「君がそれに囚われるのは、その記憶が原因なんだろう？それなら丁度いい、ボクサマが消してあげよう」

それは、誰も知らない彼の過去。誰も知らなくていい、僥倖の星の宿命。