彼女は貴族として生まれ、容姿に恵まれ、何不自由なく生きてきた。
ついには自分の美しさが失われることを恐れて老いを止める薬まで作り上げ、天才と称され讃えられた。
ある時彼女が出会ったそれは、闇そのものと言っていいほど黒く塗りつぶされた少女。
光ばかりの栄光の道を歩んだ彼女にとって、あまりにも少女は小さく、愛おしい。

「大切な子だよ、ボクサマの。だから、仕方ないんだ。何者にも邪魔させはしない」

それは、我が子を守る母の愛。邪魔者を許さず、星さえ搔き消す夜の帳。