暁照すは地平線、紅月寄越すは舞踏会
レア度:
SR
4年以上前に更新
雲の隙間を縫うのは紅の月光。
落とされた影の下、風に靡き咲き誇る花一華が抱えていたのは赤と青。
視界もこの身も、何もかもが紅い夜。
全てをかき混ぜられるような感覚の中、鬼と踊る私は確かにわらっていた。
緊迫に笑み、血反吐を咲かせ、他の死の香りに包まれるのを求めて。
あの時憑いていたのは、青でも赤でもない藤色なのだろうか。
……きっと、違う。
月夜の舞踏会に私が望んでいたのは、娯楽でも快楽でもない、排除だったのだから。