硝子板越しの雪景色のように何者にも染まらずに。
暗闇に自らを塞ぐことも、新たに手を差しのべられることもない世界。
かの地へと足を運ぶ権利を得られなかった私を、唯一招き入れる箱庭。
形ある愛情を注がれ、初恋の彼女に何もかもを捧げる狂った世界。
それでも住人はどちらも笑っているのだから、何も問題などない。
どれだけ歪で異常でも、そこにお互い手を取り合った結果があるのだから。
取り巻くのは“支配”、完成されきった異形の牢獄。
今日も囚人は、進むことも戻ることも忘れた時計を内蔵して生きる。