兄が目標だった。全てを焼き尽くす太陽のような、どこまでも続く平原のような、誰にでも等しく落ちる雷電のような、気まぐれに空を翔る鳥のような、誰にでも愛される、天才の、僕とは違う―――。 兄は去っていった。僕を置いて。 お情けで、どうして、寒奈は連れていったのに、僕は、なんで。 殺すにも値しないと言うのか。