【欠けた口紅】日根野谷 茜
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      3年以上前に更新
    
  泣いて泣いて、間に合わなくて。
それから口紅はつけなくなった。
つける必要もなくなった。
仕事場はもうオフィスではない。
「・・・・・・・・────?」
長い銀髪の高校生とすれ違う。
どこか懐かしいような、罪悪感のようなものが燻った。
「・・・・・・・。」
「姐さ~~~~ん!待ってや~~~~~!」
もう行こう。
燃えた跡から、皆それぞれ歩き出して。
何も残っていないのだから。