【硨磲人魚】 『鱗剥ぎ 消えゆく願い 泡沫に』 それは生を祝福されなかった稚魚の産声。 持たざる者が奏でる呪歌。 妬ましい、妬ましい、妬ましい、羨ましい。 鱗を剥いで、ばたつく脚から血を流し、世界を呪う怨嗟の眼は虚ろに空を見上げた。 たとえ泡と消えても、この妄執は消えることなく。 それでも、いつかこんなあたしを、愛してくれる誰かがいるのだろうか。