【夏の風物詩】青陽サナ
レア度:
★6
7年以上前に更新
火薬の匂いと、涼やかな風の匂い。
ぱちぱちぱちっと音を立てて、光の粒を零しながら夜に輝くのは、花火。
他の者たちがワイワイとススキ花火やネズミ花火、ロケット花火で楽しんでいるのの少し離れた所で、彼女は手元のそれを見つめる。
「線香花火、と言うらしい。気を付けないと、すぐに先が落ちてしまう。長くもたせるのは難しいが、儚げで、私はこれが一番好きだ」
橙色の柔らかな光に照らされた横顔は、いつもより少しだけ無邪気で、少しだけ無防備だった。