【秋の海辺】青陽ナオ
レア度:
★7
7年以上前に更新
どことなく憂いを帯びたその瞳は、夏の温度を未だ宿したままの砂浜。
どこか悲しげな優しい笑顔は、冬の知らせを乗せたさざ波。
椛も銀杏も、散りゆく姿は美しいが、地に落ちてしまえば、ただの枯れ葉と変わらない。
踏まれて茶色く汚れた枯れ葉を、防波堤の上に腰掛け、彼は愛おしそうに眺める。
「最後にはこうして汚れてしまう事を知っていながら、椛は色付き、銀杏は舞う。その一瞬を、心に焼き付けるんだ。」
留めようのない季節の移ろいの中で、海鳴りに混ぜてそっと波に乗せた、亡き魂に捧ぐ鎮魂歌。